設備紹介
診断の精度と治療の安全性を高めるために
歯科医療の世界は日進月歩で進化を続けています。 かつては歯科医師個人の経験や感覚に頼らざるを得なかった診断や治療も、今日では先進的な医療機器の助けを借りることで、その精度や安全性を客観的なレベルで飛躍的に高めることが可能になりました。 私たちが設備への投資を重要視するのは、それらがすべて患者様が受ける治療の質を高め、より良い結果に繋がると確信しているからです。 「これまで見えなかったものが見えるようになる」ことで、病気の早期発見やより正確な原因究明が可能になります。 「人の手だけでは不可能だった精密な操作ができるようになる」ことで、治療の成功率が向上し、健康な歯を削る量を最小限に抑えることもできます。 ここでは当院が導入している先進的な設備の一部と、それらが皆様の歯科治療においてどのように貢献するのかをご紹介します。
歯科用CT（三次元画像診断装置）
歯科用CTはお口の中や顎の骨の状態を、断層撮影によって三次元の立体画像として捉えることができる、現代の精密歯科治療に欠かせない診断装置です。 従来の二次元的なレントゲン写真では把握することが不可能だった、顎の骨の厚みや密度、内部を走行する神経や血管の正確な位置関係、歯の根の複雑な形態や病巣の広がりなどを、あらゆる角度から詳細に観察・分析することができます。 これにより、より安全で確実な治療計画の立案が可能となります。
インプラント治療における安全性と確実性を高める
インプラントを顎の骨に埋め込む際には、骨の中にある重要な神経や血管を絶対に損傷させないことが、安全な手術の大前提です。 CTによる三次元的な術前シミュレーションを行うことで、インプラントを埋め込む最適な位置、角度、深さを0.1ミリ単位の精度で計画することができ、手術のリスクを限りなく低減させます。 骨の量が不足しているいわゆる難症例においても、骨造成術の必要性や適切な術式を判断するための、客観的で信頼性の高い情報を提供します。
親知らずの抜歯や精密根管治療にも
複雑な方向に埋まっている親知らずの抜歯や、歯の根が細かく枝分かれしていたり湾曲していたりする、難易度の高い根管治療（歯の神経の治療）においても、CTは大きな力を発揮します。 事前に歯や神経、周囲の骨の正確な状態を立体的に把握することで、手術時間の短縮や術後の痛み・腫れといった不快症状のリスクを軽減することに繋がります。
マイクロスコープ（歯科用顕微鏡）
マイクロスコープは治療部位を最大で20倍にまで拡大して観察できる、いわば「歯の治療に特化した高性能な手術用顕微鏡」です。 肉眼では到底確認することのできない、歯の根の内部の微細な構造や詰め物・被せ物と歯との間に存在するミクロン単位のわずかな隙間、あるいは歯の表面にできた微細な亀裂などを、明るい照明下で鮮明に映し出します。 これにより、診断の精度を高めるとともに、より精密で確実な治療を可能にします。
「再発を防ぐ」ための精密根管治療
根管治療の長期的な成功は、細菌に感染した神経組織をいかに徹底的に、そして確実に取り残しなく除去できるかにかかっています。 マイクロスコープを用いることで、髪の毛よりも細く複雑に走行することもある根管の内部構造を見逃すことなく、隅々まで精密に清掃・消毒することが可能となります。 これにより、治療後の根の病気の再発リスクを大幅に低減し、歯そのものの寿命を延ばすことに大きく貢献します。
健康な歯質を最大限に温存するために
虫歯治療においても、マイクロスコープは重要な役割を担います。 「虫歯に侵された取り除くべき部分」と「健康な残すべき部分」の境界を、拡大視野下で正確に見極めることで、削る必要のない健康な歯質を最大限に残しながら、虫歯だけを選択的に除去することができます。 これは歯本来の強度を維持し、将来的な歯の破折などを防ぐ上で、非常に重要な考え方です。
口腔内カメラ（ペンタイプCCDカメラ）
「治療の椅子に座ったけれど、結局自分の口の中がどうなっていて、何をされているのかよく分からなかった」というご経験はありませんか。 当院ではそのような患者様の不安や疑問を解消するため、口腔内カメラを用いた「視覚的な説明」を重視しています。 先端に小型カメラが付いたペン型の装置で、ご自身のお口の中の状態を撮影し、目の前にあるモニター画面に大きく映し出します。 普段ご自身では見ることのできない、歯の裏側や奥歯の状態、虫歯の進行具合、歯石が付着している様子などを、ご自身の目で直接ご確認いただくことができます。 これにより、現在のお口の状況やなぜその治療が必要なのかについて、より深くそして直感的にご理解・ご納得いただくことが可能となります。 また、治療前と治療後の写真を比較してきれいになった状態をご自身の目で確認することは、治療への満足度を高めるだけでなく、今後の予防に対するモチベーションを高める良いきっかけにもなると考えています。
電動麻酔注射器
「歯医者さんで行う麻酔の注射がどうしても痛くて苦手…」という方は、決して少なくありません。 麻酔注射の際に感じる痛みの主な原因は、麻酔液を注入する際の圧力のムラや、注入速度が速すぎることにあると言われています。 当院で採用している電動麻酔注射器は、コンピューター制御によって、人の手では再現が難しいとされる「最も痛みを感じにくいとされる極めてゆっくりとした一定の速度と圧力」を維持しながら、麻酔液を注入することができます。 もちろん、針を刺入する際のチクッとした痛みを軽減するための表面麻酔（塗る麻酔）を必ずし、患者様の心身へのご負担を可能な限り少なくする「痛みの少ない治療」を常に追求しています。
拡大鏡（歯科用ルーペ）
歯科医師や歯科衛生士が診療中に、常に眼鏡のように装着しているものが拡大鏡（ルーペ）です。 マイクロスコープが根管治療や歯周外科など、特定の極めて精密な治療において用いられる「据え置き型の高性能顕微鏡」であるのに対し、ルーペは日常的なあらゆる歯科処置の精度を底上げするための「携帯可能な拡大観察装置」と言えます。 虫歯の診断や治療、歯のクリーニング、歯石除去など、歯科医師・歯科衛生士が行うほぼすべての処置において、常に術野を数倍に拡大して行うことで、微細な虫歯の見逃しや歯石の取り残しなどを防ぎ、より質の高い丁寧な医療のご提供に繋がっています。
徹底した滅菌・感染予防対策
どれほど優れた設備や高度な技術があったとしても、それらが清潔で安全な環境のもとで実践されなければ、何の意味もありません。 むしろ、危険でさえあります。 当院では患者様が心から安心して治療に専念できるよう、開院当初より院内感染予防対策の構築に、最も力を注いでいることの一つです。 治療に使用するタービン（歯を削るドリル）やミラー、ピンセットといった基本器具はもちろんのこと、外科処置に使用するすべての器具は、世界で最も厳しいとされるヨーロッパ基準（EN13060）の「クラスB」規格をクリアした高性能な高圧蒸気滅菌器を用いて、あらゆる種類のウイルスや細菌を完全に死滅させます。 また、患者様のお口に入るコップや診療時に着用するエプロン、術者が使用するグローブ（手袋）などは、可能な限りディスポーザブル（使い捨て）製品を採用し、患者様ごとに必ず新しいものに交換しています。 皆様のお口に直接触れるもの、お体に触れるものだからこそ、私たちは衛生管理という目に見えない部分にこそ、一切の妥協を許さず最大限の注意を払っています。
