当院が大切にする治療へのこだわり
「歯がしみる」「詰め物が取れた」「ズキズキ痛む」…歯のトラブルで歯科医院を訪れる際、多くの方が少なからず不安や緊張を抱えていらっしゃいます。
私たちは、そのお気持ちを何よりもまず受け止め、安心して治療に臨んでいただける環境作りを第一に考えています。
当院は、単に虫歯を削って詰めるだけの場所ではありません。
治療というプロセスを通して、患者様との間に温かい信頼関係を育み、治療を終えた日には「勇気を出してここに来て、本当に良かった」と心から前向きな気持ちでお帰りいただける、そんなクリニックでありたいと強く願っています。
かけがえのない天然歯を最大限に守り抜きます
皆様が生まれ持った大切な歯を、可能な限り「削らない」「神経を取らない」「抜かない」ことを大切にしています。
どれほど精巧な人工物も、ご自身の天然歯の機能美にはかないません。
一度歯を削ってしまうと、その歯は「治療」と「再発・再治療」という終わりなきサイクルに陥ってしまうリスクを抱えます。
小さな虫歯治療が、やがて大きな修復物へと変わり、ついには歯そのものを失うことに…。
私たちは、この「負の連鎖」を断ち切ることを目指します。
そのために重視するのが「早期発見」です。
削らずに済むごく初期の段階で問題を見つけ、予防的なアプローチで進行を食い止めます。
そして、やむを得ず削る必要がある場合でも、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や拡大鏡といった拡大視野装置を駆使します。
これにより、虫歯に侵された部分と健康な歯質との境界をミクロン単位で正確に見極め、切削量を必要最小限に抑え込むことが可能です。
見て、理解し、納得して共に進める治療
当院では治療のすべてのステップを「可視化」し、患者様ご自身にご納得いただいた上で、二人三脚でゴールを目指します。
「何をされているか分からない」という状況は、患者様を不安にさせる大きな要因です。
当院では、まず口腔内カメラを使用し、お口の中の現状をモニターに大きく映し出します。
ご自身の目で客観的な状態を見ていただくことで、「なぜ今この治療が必要なのか」という点を深くご理解いただくこと。
それが、治療への第一歩だと考えています。
そして、治療の選択肢が複数考えられる場合には、それぞれの方法の長所・短所、予想される期間や費用について専門用語を避け、時間をかけて丁寧にご説明します。
私たちの役目は、歯科医師として科学的根拠に基づいた正確な情報を提供し、皆様が進むべき道筋を示すことです。
虫歯の進行度合いと治療アプローチ
虫歯は、その深さによってC0(シーゼロ)からC4(シーフォー)までの5つのステージに分類されます。
浅い段階で発見・対処できれば、それだけ歯へのダメージが少なく、よりシンプルな方法で健康な状態を取り戻すことが可能です。
C0:歯を削らない、再石灰化を目指すステージ
歯の表面のエナメル質から、ミネラル成分が溶け出し始めた虫歯の”入口”と言える状態です。
歯の表面が、光沢を失ってチョークのように白く濁って見えますが、まだ実質的な穴は開いていません。
痛みやしみるといった自覚症状は全くありません。
治療方針
このステージでは、歯を削る必要はまずありません。
唾液が本来持っている「再石灰化」という自然治癒力を最大限に引き出すためのサポートを行います。
ブラッシング指導(TBI)
磨き残しの原因となっている歯垢を効果的に除去するための正しい歯磨き方法や、デンタルフロス・歯間ブラシの使い方を丁寧にお伝えします。
フッ素塗布
歯の質そのものを強化し、酸に溶けにくい丈夫な歯を作るフッ素を専門的に塗布します。(お子様へのフッ素塗布は、予防ケアの一環として費用をいただかず実施しております)
PMTC(専門家による歯の清掃)
歯磨きだけでは落としきれない細菌の巣である「バイオフィルム」を、専用の器具で徹底的に除去します。
C1:経過観察を基本とする、エナメル質内の虫歯
歯の最も外側にある硬いエナメル質が部分的に溶かされ、ごく小さな穴が開いてしまった状態です。
痛みはまだありませんが、冷たいものが一瞬しみることが稀にあるかもしれません。
治療方針
基本的にはC0と同様に、積極的な切削介入は行わず、フッ素塗布や丁寧なブラッシングを継続しながら注意深く経過を観察します。
ただし、穴が比較的大きく食べ物が詰まりやすい場合や、審美的に気になる場合、あるいは進行リスクが高いと判断される場合には、虫歯の部分だけを最小限の範囲で除去し、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)などで修復する処置を行います。
C2:自覚症状が現れる、象牙質への進行
虫歯がエナメル質を突破し、その内側にある比較的柔らかい「象牙質」にまで達してしまった状態です。
象牙質はエナメル質よりも酸に対する抵抗力が弱いため、一度ここまで進行してしまうと虫歯は急速に内部へと広がっていきます。
「冷たいものがしみる」「甘いものを食べると痛む」といった、はっきりとした自覚症状が現れ始めます。
治療方針
この段階での放置は、神経への感染リスクを高めるためできるだけ早期に適切な治療が必要です。
麻酔をしっかり行った上で、虫歯菌に感染し軟化してしまった象牙質を確実に取り除きます。
当院の精密虫歯治療へのこだわり
- 拡大視野下での精密な切削
- 歯科用ルーペやマイクロスコープで術野を拡大し、健康な歯質と虫歯に侵された部分とを明確に見分け、削る量を必要最小限に抑えます。
- 「う蝕検知液」の活用
- 虫歯菌に感染した部分のみを赤く染め出す薬剤を使用し、術者の勘だけに頼らない客観的で確実な虫歯除去を行います。
- 神経を保護する「MTAセメント」
- 虫歯が神経に非常に近いところまで進行している場合、神経を保護し生活力を温存させる効果が期待できる特殊な薬剤を使用することがあります。(自由診療:44,000円(税込))
- 1回で完了可能な「ダイレクトボンディング」
- 削った後の穴は、多くの場合コンポジットレジンを直接充填して修復します。歯を削る量が少なく、型取りも不要なため多くの場合1回の通院で治療が完了します。
C3:強い痛みを伴う、神経(歯髄)への感染
虫歯がさらに深く進行し、歯の中心部にある「歯髄」、つまり一般的に「歯の神経」と呼ばれる血管や神経線維が詰まった軟組織にまで達してしまった状態です。
歯髄が細菌に感染して強い炎症(歯髄炎)を起こすため、「何もしなくてもズキズキと激しく痛む」「夜も眠れないほど痛い」「温かいものがしみると痛みがしばらく続く」といった、非常に強い自覚症状が現れます。
治療方針
このステージになると、残念ながら歯の神経を保存することは困難です。
虫歯菌によって汚染されてしまった歯髄組織を取り除き、神経が入っていた管(根管)の内部を徹底的にきれいに清掃・消毒し、再び細菌が侵入しないように薬剤で密閉する「根管治療」が必要となります。
C4:歯の根のみが残存する、末期的な状態
虫歯によって、歯茎から上の部分(歯冠)がほとんど溶けて崩壊し、歯の根(歯根)だけが残っている状態です。
多くの場合、歯の神経は既に死んでしまっているためC3のような激しい痛みを感じることはありません。
しかし、歯の根の先端部分には細菌感染による膿の袋(根尖病巣)が形成され、体調が悪くなった時などに歯茎が大きく腫れたり、鈍い痛みを感じたりすることがあります。
治療方針
このステージになると、残念ながら歯を保存することが非常に困難となり、抜歯となる可能性が高くなります。
しかし、当院では残っている歯根の状態や周囲の骨の状態によっては、抜歯を回避するための特殊な外科的処置や矯正的処置を検討する場合もあります。
歯の未来を左右する精密根管治療
根管治療は、歯の土台となる目に見えない「根っこ」の部分を扱う非常に繊細で、そして極めて重要な治療です。
この根管治療の精度、つまり根管内の感染源をいかに徹底的に除去し、再び細菌が侵入しないように緊密に封鎖できるかが、その歯が将来的にどれだけ長く問題なく機能し続けることができるかを大きく左右します。
自由診療による「精密根管治療」
根管治療は、保険診療の範囲内でも行うことが可能です。
しかし、歯の根の中は人それぞれ、そして歯の種類によって非常に複雑で予測不能な形態をしていることが少なくありません。
保険診療の制約の中では、どうしても使用できる器具やかけられる時間に限界があります。
再発のリスクを極限まで抑え、その歯の寿命を最大限に延ばすためには、より高度な設備(マイクロスコープ、歯科用CT、ラバーダム防湿など)をすべて駆使し、十分な時間をかけて丁寧に行う処置が求められます。
当院では、このような最高水準の治療を「精密根管治療」として自由診療(1根管につき11,000円(税込))にてご用意しております。
もちろん、保険診療をお選びいただいた場合でも私たちが持つ知識と技術に基づき、常に丁寧で誠実な治療を心がけることをお約束します。
精密根管治療で使用する先進的な機器と技術
- マイクロスコープによる「拡大視野下」での精密処置
- 術野を最大で20倍近くまで拡大し、明るい照明下でこれまで肉眼では決して見ることのできなかった根管の入り口や、内部の汚れの取り残し、あるいは微細な亀裂などを明確に視認しながら確実な治療を行うことが可能になります。
- 歯科用CTによる「三次元的」な診査・診断
- 従来の二次元的なレントゲン写真では分からなかった、根の複雑な立体構造や根の先端にできた病巣の正確な広がりなどを治療開始前に詳細に把握することができます。
- ラバーダム防湿による「徹底した」感染防止
- 治療する歯を唾液から完全に隔離された無菌的な環境下で処置を行うことが極めて重要です。当院では「ラバーダム」というゴム製のシートを用いて、治療対象の歯だけを口腔内から隔離する「ラバーダム防湿」を徹底しています。
- 柔軟性に優れた「ニッケルチタンファイル」の使用
- 非常にしなやかで弾力性に富む「ニッケルチタン製」のファイルを採用し、複雑に湾曲したり枝分かれしたりしている根管の隅々まで、より安全かつ効率的に根管内をきれいに清掃することが可能になります。
歯の保存がどうしても困難な場合
私たちは、あらゆる知識と技術を駆使して患者様ご自身の歯を、一本でも多く一日でも長く残すことを常に第一の目標としています。
しかしながら、歯の状態によっては多くの時間と費用をかけて複雑な根管治療や外科処置を行ったとしても、残念ながら数年で再発してしまい最終的には抜歯に至ってしまうことが高い確率で予測されるケースも存在します。
特に、歯の根に亀裂が入っていたり割れてしまっている場合(歯根破折)や、あまりにも広範囲にわたって長期間細菌感染が放置されていたような場合です。
そのような状況で無理に歯を残そうとすることが、かえって周囲の大切な骨をさらに失わせる原因となり、将来的なインプラント治療などをより困難にしてしまう可能性も否定できません。
当院では、歯科用CTなどを用いた精密な検査によってその歯を長期的に安定して残せる可能性を客観的かつ慎重に見極めます。
そして、もし根管治療による保存が極めて難しいと判断した場合には、その理由を正直に包み隠さずご説明し、より長期的に安定して機能することが期待できる「インプラント治療」という選択肢を代替案としてご提案することもあります。
虫歯・根管治療に関する、よくあるご質問
虫歯のなりやすさ(リスク)には、いくつかの要因が関わっています。
例えば、糖分を多く含む飲食物の間食頻度が高いといった「食生活」、唾液の分泌量が少なくお口が乾燥しやすいといった「唾液の性質」、あるいは歯並びが複雑で磨き残しが多くなりがちな「お口の環境」などが挙げられます。
これらの要因は、生活習慣の見直しや歯科医院での専門的な予防ケア(フッ素塗布やシーラント、クリーニングなど)によって、ある程度コントロールしリスクを低減させることが可能です。
虫歯が比較的深かった場合、歯を削った刺激によって歯の神経が一時的に過敏になり、治療後に冷たいものなどでしみたり軽い痛みを感じたりすることがあります。
これは異常な反応ではなく、多くの場合時間の経過と共に自然に落ち着いていきますので、ご安心ください。
しかし、症状がなかなか改善しない、あるいは以前よりも強くなるような場合は他の原因も考えられますので、決して我慢なさらず早めにご相談ください。
いいえ、治療中に痛みを感じることはほとんどありませんので、どうぞご安心ください。
根管治療を行う際は、処置を開始する前に必ず局所麻酔を十分な時間をかけてしっかりと効かせます。
麻酔が効いていることを確認してから治療を始めますので、痛みを感じることなくリラックスした状態で治療を受けていただけます。
かけがえのない歯を未来へと守り繋ぐために
虫歯は、ごく初期の段階で発見し適切な対処を行えば、決して怖い病気ではありません。
そして、歯科治療において最も重要な理念は、ご自身の歯を可能な限り削らず、抜かず、健康な状態で長く維持していくことです。
私たち当院は、精密な診断力とそれを実現するための高度な技術力、そして何よりも患者様との丁寧なコミュニケーションを通して、歯への負担を最小限に抑えた質の高い治療を追求します。
もし、歯にしみる、痛む、詰め物が取れたなど虫歯でお悩みの方は、症状が悪化してしまう前にぜひ一度お気軽に当院までご相談ください。

