なかなか治らない頭痛や肩こり、あるいは顎の痛みや口の開きにくさに悩まされていませんか。
その不調の原因は、歯の「噛み合わせ」の乱れにあるかもしれません。
噛み合わせは単に食べ物を効率よく噛むためだけのものではなく、お口全体の健康はもちろん姿勢や全身のバランスにも影響を与える重要な要素です。
当院では一本一本の歯の状態だけでなく、顎の関節や筋肉の動き、さらには患者様の日常的な癖や生活習慣も含めた総合的な視点から噛み合わせの問題と向き合います。
表面的な症状の緩和だけでなく、不調を引き起こしている根本的な原因を見つけ出し改善することで、健やかで快適な毎日を取り戻すお手伝いをいたします。
噛み合わせとは
噛み合わせとは一般的に、上下の歯がどのように接触するかを指しますが、専門的には「咬合」と呼ばれより広い意味を持ちます。
それは歯と歯の接触だけでなく、顎を動かす筋肉や顎関節、そしてそれらをコントロールする神経系が互いに連携し調和の取れた機能を発揮している状態を指します。
この精巧なバランスが崩れると、特定の歯だけに過剰な力が集中したり顎の関節や筋肉に無理な負担がかかり続け、お口の中だけでなく全身にまで不調を引き起こす原因となります。
噛み合わせが乱れる主な要因
私たちの噛み合わせは生まれた時から不変ではなく、日々の生活習慣やお口の中の変化によって少しずつ変化していきます。
主な要因
- 虫歯や歯周病による歯の欠損、または歯の移動
- 過去に治療した詰め物・被せ物がすり減り、高さが合わなくなった
- 親知らずが手前の歯を押し、歯並び全体が変化した
- 無意識の歯ぎしりや食いしばりの癖
- 頬杖をつく、うつ伏せで寝る、片側だけで噛むといった日常的な習癖
- 精神的なストレスによる無意識の食いしばり
これらの要因が単独で、あるいは複数複雑に絡み合うことでお口全体の繊細なバランスが徐々に崩れていきます。
噛み合わせの不調が引き起こす症状
噛み合わせのバランスが崩れると、そのサインはまずお口の中に現れますが、時には顎周りや全身の様々な部位にまで影響が及びます。
| 症状の現れる部位 | 具体的な症状 |
|---|---|
| お口の中 | ・特定の歯が異常にすり減る、欠ける、割れる ・詰め物や被せ物が頻繁に外れる ・歯の根元がV字状にえぐれる(くさび状欠損) ・歯周病が進行しやすい ・知覚過敏 |
| 顎とその周囲 | ・顎の関節で「カクカク」「ジャリジャリ」という音がする ・口が大きく開けられない、開ける際に痛みがある ・顎の関節や咀嚼筋に鈍い痛みやだるさを感じる |
| 全身 | ・原因不明の慢性的な頭痛、肩こり、首筋のこり ・耳鳴り、めまい、ふらつき感 ・目の奥の重さや痛み ・睡眠の質の低下、熟睡感の欠如 |
このような症状に長期間悩まされており、他の医療機関を受診してもなかなか原因が特定できない場合には、一度歯科医院で「噛み合わせ」という観点からのチェックを受けることをおすすめします。
当院の治療アプローチ
噛み合わせの治療は単に歯の高さを調整すれば良いという単純なものではありません。 歯、筋肉、顎関節、そしてそれらをコントロールする神経系が複雑に連携して機能する繊細な領域です。
精密な診断から始める
まずお口の中の状態を詳細に拝見し、顎がどのように動くか、顎周りの筋肉に過度な緊張や圧痛がないかを確認します。
日頃の生活習慣についても問診を通して詳しくお話を伺います。
必要に応じて咬合紙を使った検査や歯科用CT撮影により、客観的なデータに基づき問題の根本原因を多角的に分析します。
お口全体の調和を重視
顎関節が本来あるべき生理的でリラックスした位置で機能し、咀嚼筋に余計な緊張がなくスムーズで調和の取れた咀嚼運動が行える状態を再構築します。
そのためお口全体を一つの機能単位として捉え、そのバランスを総合的に考慮した上で治療計画を立案します。
可能な限り歯を削らない
当院では安易に健康な歯質を削ることは極力避けるべきだと考えています。
まず治療後に問題が生じた場合に元の状態に戻すことが可能な可逆的な治療法から試みることを基本方針としています。
具体的な治療法
マウスガード療法
患者様のお口に合わせて精密に作製した透明な樹脂製の装置で、主に就寝中に装着していただきます。
スプリントを装着することで、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりから歯や修復物を保護すると同時に咀嚼筋の過剰な緊張を和らげ、顎関節を安静な状態に導きます。
矯正治療
歯並びそのものが噛み合わせの乱れの根本的な原因となっている場合には矯正治療が必要です。
当院では透明で目立たないマウスピース型矯正装置「インビザライン」を専門としており、理事長が一貫して治療を担当します。
詰め物・被せ物の調整
長年の使用ですり減った歯や、高さが合わなくなった詰め物や被せ物が原因の場合には、それらを精密なセラミック材料などで作り直します。
スプリント療法などで見つけ出した顎にとって最も安定した位置を基準とし、お口全体のバランスを考慮しながらミリ単位以下の精度で修復物を作製・調整します。
顎関節症でお悩みの方へ
「口を大きく開けようとすると耳の前あたりが痛む」「食事の時に顎がカクカクと音がする」「以前より口がスムーズに開かなくなった」 このような症状に悩まされているなら、それは「顎関節症」のサインかもしれません。
簡単なセルフチェック
ご自身の指をそろえて縦にし、何本くらい無理なくお口の中に入れることができるか試してみてください。
一般的にご自身の指が縦に3本(約4~5cm程度)痛みなくスムーズに入れば、顎関節の動きは正常な範囲です。
もし指が2本程度しか入らない、あるいは開けようとすると痛みを感じる場合は顎関節症の可能性が疑われます。
歯科用CT撮影
顎関節の骨そのものにすり減りや変形が疑われる場合、歯科用CTによる精密検査を行うことも可能です。
CTを用いることで顎関節を構成する骨の形態異常や関節円板の位置のズレなどを立体的に詳細に評価でき、より正確な診断と適切な治療方針の決定に繋がります。
ボツリヌス治療
顎周りの筋肉の痛みが日常的な歯ぎしりや食いしばりによって引き起こされている場合、当院では筋肉の過剰な緊張を緩和させるための選択肢として「ボツリヌス治療」もご用意しています。
過剰に緊張・発達してしまった咀嚼筋に少量のボツリヌス製剤を注射することで、無意識下で行われる過剰な食いしばりの力を緩和させます。
顎関節にかかる物理的な負担が直接的に軽減され、痛みの緩和や顎の動かしやすさの改善が期待できます。
マウスガードと併用することで、「筋肉の過緊張を和らげる」ことと「歯を物理的に保護する」という二つの側面から同時にアプローチし、より確実な症状の改善を目指すことも可能です。
お気軽にご相談ください
噛み合わせの不調和や顎関節のトラブルは、単にお口の中の問題だけでなく食事や会話といった日常生活の質に大きな影響を及ぼします。
「これくらいなら大丈夫だろう」と我慢したり放置したりせず、少しでも気になる症状があればまずは専門家である私たち歯科医師にご相談ください。
私たち当院は患者様一人ひとりのお悩みとその背景にある生活習慣まで含めて真摯に向き合い、症状を引き起こしている根本的な原因を丁寧に見つけ出すことから始めます。
そして科学的根拠に基づいた治療計画をご提案し、皆様が健やかで快適な毎日を取り戻すお手伝いをいたします。
どうぞお一人で悩まず、お気軽に私たちにお声がけください。

