歯周病とはどんな病気?進行段階や原因、治療法も
こんにちは。世田谷区北沢、京王井の頭線・小田急線「下北沢駅」より徒歩4分にある歯医者「ただなわデンタルクリニック下北沢歯科医院」です。
歯周病は、虫歯と並んで日本人の多くがかかっている病気です。40歳以上の成人の約8割が歯周病にかかっているという調査結果もあり、歯を失う原因にもなる病気ですが、初期段階では自覚症状が現れにくく、気付かないうちに進行していることもあります。
この記事では、歯周病とはどんな病気か、種類や原因、治療法までを分かりやすく説明します。
歯周病とはどんな病気?

歯周病は、歯を支えている顎の骨などの歯周組織に炎症が起こる慢性の疾患です。初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行しているケースが多いことが特徴です。痛みも少ないため、歯ぐきが腫れる、出血するなどの軽い症状が現れても放置しがちです。
しかし、歯周病は放置すればするほど進行し、歯を失うリスクが高まります。歯周病菌が作り出す毒素によって歯を支える骨が溶けてしまうためです。
近年では、歯周病が口腔内だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことが明らかになっています。糖尿病や心疾患、早産などとの関連も指摘されており、単なる口内の病気として軽視することはできません。
歯周病は年齢を重ねるとともにリスクが高くなる傾向がありますが、若年層でも、歯磨きが不十分だったり遺伝的な要因があったりすると発症する可能性があります。つまり、歯周病は誰にでも起こりうる病気であり、日々の口腔ケアと定期的な歯科検診による予防・早期発見が重要といえます。
歯周病の進行段階

歯周病の進行段階は、大きく4つに分類されます。初期は歯肉炎と呼ばれ、その後歯周炎へと進行していきます。ここでは、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
歯肉炎
歯周病の初期段階が、歯肉炎です。歯と歯ぐきの間にプラーク(歯垢)がたまり、歯ぐきが炎症を起こす状態です。歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きをしたときに出血したりしますが、痛みは少なく気づきにくいです。
軽度歯周炎
歯肉炎が進行すると、歯を支えている骨にまで炎症が波及した軽度歯周炎へと移行します。歯ぐきの腫れや出血に加え、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットが深くなり、歯肉が下がって歯が長く見える場合があります。この段階では、歯のぐらつきはまだほとんどありません。
中等度歯周炎
中等度まで進行すると、歯周ポケットがさらに深くなり、歯を支える骨の吸収も顕著に進みます。歯ぐきの腫れや出血に加え、口臭が強くなったり、食べ物が詰まりやすくなったりするなどの自覚症状が現れます。
歯ぐきが下がって歯が長く見える、噛んだときにグラつきがあるといったサインがある場合は要注意です。この段階では歯石の付着も増え、セルフケアだけでは除去が困難になるため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要不可欠です。
重度歯周炎
重度歯周炎では、骨の破壊が広範囲に及び、歯のぐらつきもひどくなります。この段階になると歯茎に膿がたまり、強い痛みや口臭が発生していることも多いです。また、歯茎が下がって象牙質が露出すると、歯がしみたり、見た目にも影響が出ます。
強い痛みを伴うことも多く、食事がしにくくなったり、日常生活にも支障が出る方も少なくありません。
歯周病の原因

歯周病は、1つの要因で発症するものではありません。主な原因を確認しましょう。
プラークが歯肉に長期間付着している
プラーク(歯垢)は、歯の表面に付着する細菌の塊で、歯周病の直接的な原因です。歯と歯ぐきの境目に溜まるプラークが炎症を引き起こし、歯ぐきが赤く腫れることから歯周病が始まります。
プラークは通常、歯磨きやデンタルフロスによって取り除けますが、取り除かなければ歯周組織が慢性的に刺激を受け、炎症が進行します。
喫煙習慣
タバコを吸う人は、非喫煙者に比べて歯周病になるリスクが高いとされています。喫煙するとタバコのニコチンによって毛細血管が収縮し、歯ぐきへの血流が悪化します。そのため、免疫力が低下し、歯周病菌に感染しやすくなります。
また、喫煙者は歯茎の出血などの症状が現れにくく、歯周病の発見が遅れる傾向もあります。
歯並びや噛み合わせが悪い
歯並びが悪いと、歯と歯の間に歯ブラシが届きにくく、磨き残しが増えることで、細菌が繁殖しやすくなります。また、噛み合わせが悪いと特定の歯や歯茎に過度な負担がかかり、歯周病の原因になる可能性があります。
口呼吸の習慣がある
口呼吸の習慣があると、口腔内が乾燥しやすくなります。口の中が乾燥すると、唾液の自浄作用が弱まり、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。特に、睡眠中に口を開けたまま寝ていることが多い人は要注意です。
生活習慣が乱れている
歯周病の進行には、生活習慣の乱れも影響を及ぼします。睡眠不足や運動不足、飲酒・喫煙などがあると、免疫力が低下し、体が細菌に対する防御が弱まります。そのため、歯周病が進行しやすくなるのです。
また、不規則な食生活も、免疫力が低下する原因のひとつです。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりで強い力が歯にかかると、歯周組織がダメージを受ける場合があります。歯ぎしりや食いしばりは無意識のうちに行う方が多いですが、その際に歯にかかる負担は60kg〜200kgにも及ぶとされています。
これにより歯周組織が損傷すると、歯周病が悪化しやすくなります。
糖尿病
糖尿病の人は、高血糖状態が持続することで免疫機能が低下し、歯周病が進行しやすくなったり悪化しやすくなったりします。逆に、歯周病が進行することで血糖コントロールが悪化する可能性もあるのです。
そのため、糖尿病を患っている方は、歯周病を予防・早期治療することがとても重要です。
歯周病の治療法

歯周病の治療は、病状に応じて段階的に行われます。原因である歯周ポケット内の汚れを取り除く治療が中心となりますが、症例によっては外科的な処置が必要になることもあります。
ここでは、歯周病治療の主な方法を解説します。
歯周基本治療
歯周病の進行を食い止めるために行われるのが、歯周基本治療です。まずは侵襲の少ない処置で、症状の改善を目指すのが一般的です。
ブラッシング指導
日常的に行う歯磨きが不十分な場合、歯磨きで除去しきれなかった汚れが石灰化して歯石となり、歯周病の原因となることがあります。そのため、歯科医院では、歯周病の現状に応じて、患者様一人ひとりに合った歯磨きの方法を指導していきます。
セルフケアでしっかり汚れを除去できるようになれば、初期段階の歯周病なら改善していく可能性もあります。
スケーリング・ルートプレーディング
歯の表面や歯茎下の歯石・プラークを除去し、汚れの付着した歯根の表面を滑らかにします。これにより、歯石の再付着を防いで細菌を取り除き、炎症の改善を図ります。
歯周外科治療
重度の歯周病では、基本治療だけでは歯周ポケットの深部にある歯石や感染組織を除去しきれない場合があります。そのような場合には、歯周外科治療を行って歯周病の進行を食い止める必要があります。
歯周外科治療には、フラップ手術や歯周組織再生療法などがありますが、患者さまの歯周病の進行具合や治療に対する考え方などを考慮して、どのような治療を行うか判断します。
フラップ手術
フラップ手術は、スケーリング・ルートプレーニングで改善が見られない中等度〜重度の歯周病に対して行われます。歯ぐきを切開し、歯周ポケットの奥深くにある歯石や感染組織を直接除去する手術です。
歯の支持構造を回復させて歯のぐらつきを改善し、歯周病の進行を食い止めることを目指します。
歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、歯周組織が破壊されてしまいます。スケーリング・ルートプレーニングやフラップ手術を行って汚れや細菌を徹底的に除去しても、破壊された歯周組織が自然に元に戻ることはありません。
そこで、歯周組織を再生するために行われるのが歯周組織再生療法です。特殊な薬剤を使用して歯槽骨などの歯周組織を再生させることで、歯の寿命を延ばします。
メンテナンス(定期管理)
歯周病は再発しやすい病気のため、治療後も定期的に歯科医院でのメンテナンスが不可欠です。3か月から6か月ごとの定期検診で、歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さのチェック、清掃状態の確認などを行います。
また、自宅でのブラッシングに問題がないかアドバイスを受けたり、必要に応じてクリーニングや再治療を受けたりすることで、長期的に歯の健康を維持できるでしょう。
まとめ

歯周病は、痛みも少ないまま進行することが多く、自覚症状が出たときにはすでに重症化しているケースも少なくありません。そのため、早期発見と適切な治療、そして再発を防ぐためのケアが非常に重要です。
歯周病は進行の度合いによって、現れる症状や治療方法が異なります。また、糖尿病や心疾患など全身疾患との関連も深く、歯周病の予防や治療は全身の健康管理にもつながります。
歯周病の治療を検討されている方は、世田谷区北沢、京王井の頭線・小田急線「下北沢駅」より徒歩4分にある歯医者「ただなわデンタルクリニック下北沢歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、皆様と真の信頼関係を築くために、初診のカウンセリングから精密な治療、治療後の予防・クリーニングに至るまで、すべての時間を歯科医師が一貫して担当しています。虫歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療やインプラント治療などにも力を入れています。

